「キャプテン・フィリップス」(2013米)

2009年4月、ソマリア海域を航海中のコンテナ船、マークス・アラバマ号を海賊が襲撃。武器を所持していた4人の海賊に、武装していなかったアラバマ号はあっという間に占拠されてしまう。船長のリチャード・フィリップスは、20人の乗組員を自由にしてもらう代わりに自らが海賊の人質となり……。

手に汗握る展開で釘付けになるくらい面白いのだが、船上での出来事なのでカメラがぶれて(ような演出にしているのでしょう)酔う。以前、映画館で観た「クローバーフィールド」という映画もハンディカムで撮影している体なので具合が悪くなって吐きそうになったのを思い出した。

ソマリアについては「謎の独立国家ソマリランド」という本を以前読んだ。海賊たちが齧っている葉っぱがカートで、そしてプントランドが海賊の拠点となっていること、ソマリアでは長老が大きな力を持っていることなど、その本で得た知識が役に立った。読み物としても面白いのでお勧めしておく。

*ネタバレ注意
さて、一点気になることがあるのだが、それは物語の終盤でトム・ハンクス演じるフィリップ船長が救護班の簡単な質問に答えられずに茫然自失になるシーンだ。これは単に海賊に襲われたという計り知れない精神的な衝撃だけではなく、16〜17歳のまだ年端もいかない少年が、生きていくためにやむを得ず海賊行為を行わざるを得ない現実、さらには彼らの命を救えなかった(何度も妥協案を提示していることを鑑みて)ことに打ちひしがれているようにも思える。そのような思いが「これは私の血ではない。彼らの血だ。」という言葉となって表れているのではないか。

独断と偏見に基づく私的評価【★★★☆:優】