「海と大陸」(2011伊・仏)

家業の漁業が衰退する中、2年前に父を海で亡くした20歳の青年フィリッポは、漁師の生活に誇りを持つ祖父と島を捨てて本土で息子と新生活を送りたいと願う母の間で揺れ動く日々。ある日、いつものように祖父とともに漁に出たフィリッポは、アフリカから危険を冒して海を渡ってきた難民と遭遇し、妊娠中の女性サラとその息子をガレージに匿うのだったが…。

法は絶対的な正義ではなく、時として人道と反することもある。イタリアの貧しい島、毎日を生きるのがやっとな一家と難民との邂逅。自分の行いの正しさを信じる祖父。他者を慮る余裕すらない母。未熟で大人になりきれない息子。ひと夏の事件は一家に、そして息子に大きな変化をもたらす。歪んだ世界に生きる人々を、良心という名の光は照らしてくれるのであろうか?

独断と偏見に基づく私的評価【★★★☆:優】