「それでも夜は明ける」

1841年、奴隷制廃止以前のニューヨーク、家族と一緒に幸せに暮らしていた黒人音楽家ソロモンは、ある日突然拉致され、奴隷として南部の綿花農園に売られてしまう。狂信的な選民主義者エップスら白人たちの非道な仕打ちに虐げられながらも、彼は自身の尊厳を守り続ける。やがて12年の歳月が流れ、ソロモンは奴隷制度撤廃を唱えるカナダ人労働者バスと出会い……。

12年もの間、ソロモンが理不尽な不条理に耐え続けられたのは、彼の人間としての強さに他ならない。奴隷制(とその影響をいまだに引きずっているアメリカ社会)から、社会における個人の尊厳と他者との共生という問題について大いに考えさせられた。

独断と偏見に基づく私的評価【★★☆☆:良】