「ゴーン・ガール」

ニックとエイミーは誰もがうらやむ夫婦のはずだったが、結婚5周年の記念日に突然エイミーが行方をくらましてしまう。警察に嫌疑を掛けられ、日々続報を流すため取材を続けるメディアによって、ニックが話す幸せに満ちあふれた結婚生活にほころびが生じていく。うそをつき理解不能な行動を続けるニックに、次第に世間はエイミー殺害疑惑の目を向け……。

それぞれ役割を演じることで夫婦(もっと言えば家族)という関係が成り立っているとしたら…… 自己と他者との関係性(=社会)の中で生きる私たちは、自発的あるいは外部から要求に基づいて「私という存在を振る舞っている」のに過ぎないのではないのではないだろうか。そうなってくると、作られたイメージの‘型’に自分を嵌め続けなくてはならず、本当の自分を見失ってしまう。もっとも、本当の自分というものが存在すればの話だが。皮肉を込めて描かれるセンセーショナルな報道を繰り返すマスコミとそれに踊らされる大衆。一人歩きする作り上げられた虚構によって私は規定される存在となる。
物語は最後の最後まで展開が読めず、文句なしに面白かった。

独断と偏見に基づく私的評価【★★★★:秀】