週末の出来事

 金曜日の昼、書類に判子を貰いに行く。予め家で書いてきた理由にいちゃもんをつけられ、嘘をついて書類をもう一枚貰うよう強要される。もちろん、嘘をつきたくはないので教務課で事の顛末を事実の通り話したが。主任と1時間近く話し、その中で環境を変える提案を受ける。結局、書類は主任預かりに。
 夕方、電車に乗る前に10錠、帰宅後に精神安定剤を40錠飲み、カッターナイフで手首を優しく3刻み。とはいってもボクは狡猾な人間なので、そんなことしたくらいじゃ死ねないことは分かっているし、何より一時的な気の迷いで傷痕を作るのも馬鹿らしいので、そっとなぞる程度の力加減。それでも、今までは手首に刃を当てる事はあっても、刃を動かす勇気までは無かったので、その点ではかなり進歩したと言える。その後、記憶消失。大抵、薬に溺れると人恋しさに苛まれ電話を掛ける悪い癖が出るのだが、今回も呂律の回らない状態で親に掛けたらしい。しかし、覚えていない。

 土曜日の朝、両親が車で駆けつける。深夜には到着していたようだが、酩酊していて恐らく寝ていたボクに共同玄関の解鍵が出来るはずもなく。これも覚えていないのだが、親の目の前でさらに20錠飲み、ガラスのテレビ台を車に積み込むよう話を取り付け、おもむろにテレビのケーブルを外しだしらとか。
 夕方、気付いたら埼玉辺りを走っていた。ここからのことは多少覚えているのだが、思い出すのも憚られるくらい酷い有様なので書くのは控える。言い方を変えれば、オーバードースしたことをためらいなく公言できるこのボクでさえ、書くのを躊躇うくらいの出来事だったのだ。

 日曜日の昼、起床。ぼんやりとした頭で車を走らせ、買い物など。夕方、父親と激しい口論、そして発狂。薬の代わりにお酒を飲む気にもなれず、不貞寝。

 月曜日の朝、割と落ち着いたので家族会議。父親と仲直りして、二人でごはんを食べに出かける。夕方、地元を発ち、新幹線と在来線を乗り継いで21時過ぎに帰宅。

 金曜日に書類を貰いに行った書類上の指導教員に「君は精神的にどうかしてる」とお墨付きをもらったことも追記しておく。専門はセラミックだったと思うが、セラミックの知識を極めると他人が精神的にまともかどうか判断できるようになれるらしい。もっとも、嘘を強要する人間が精神的にまともで、それを拒む人間が精神的に異常とされるならば、ボクは喜んで気違いを演じ、果てには自殺をしようじゃないか。これも精神的にどうかしている人間だからこそ、出来る事である。
 まともな人間として生きていく自信を無くし、これからは気違いとして振る舞っていく他ないのだ。