「ザ・マスター」(2012)

第二次大戦終結後、帰還兵のフレディはアルコール依存を抜け出せず、トラブルを繰り返しては職場を転々とする日々を送っていた。そんなある日、酒に酔ったフレディは、港に停泊中の船にこっそり乗り込んでしまう。やがて船員に見つかり、“ザ・コーズ”という新興団体を率いる“マスター”の前に引き出される。意外にもマスターはフレディを歓迎し、いつしかフレディはマスターの右腕として行動を共にするようなるが…。

「宗教は不合理・非科学的なものであるがゆえに、信仰が成り立つ」という宗教学のぼんやりとした理解が役立つ映画でした。宗教における重要なファクターは科学的な理論を有することではなく、教祖がいかに優れたカリスマ性を有するかの一点であって、カリスマ性によって人々は盲目的に取り込まれていき、集団を形成していく。
マスターは純粋な信念と使命感を持っているのだろうけども、そのマスターも教祖である前に‘一人の人間’であって、支配的な妻に依存している。そのことが集団を世俗的にし、マスターとフレディの魂は結ばれながらも引き裂かれざるを得ない、みたいな話だと思う。

独断と偏見に基づく私的評価【★★☆☆:良】