高坂原論22

■Reborn

「人間は恋と革命のために生まれて来たのだ」―太宰治『斜陽』の一節である。貴族として没落していく中で母と弟を亡くし、運命的に出会った妻子持ちの上原との秘め事を忘れられずにいるかず子。ひとりの人間として、その存在意義を自問自答した末に、上原の子を宿したかず子は常識や世間と闘い、上原との子を育てながら、これからを生きていくことを決意する。『斜陽』においては、恋を原動力としてかず子は革命を起こすのであった。

ボクが革命を起こすには、何を原動力とすればよいのだろうか? それは知識だ。とりわけ自分の核を形成する哲学、内的思想を具現化しつつ自分という世界の限界を規定する言語の知識は大きな武器となるだろう。

自分という存在を深化・涵養するために必要なパラダイムシフトは自らの手でのみ引き起こされる。他者によってもたらされるものではない。不確実な世界と不完全な自分。だからこそ、不連続な存在として夢見ることができるのだ。

未来のために、いま生まれ変わろう。さもなければ死を。人よ、幸福に!