「倫理資料集 ソフィエ」まとめ3(合理論1 デカルト)

デカルト
中世スコラ的な学問に失望し、「世間という大きな書物のうちに見いだされ得る学問」を求めて、旅行や軍隊生活で過ごす。22歳で30年戦争にカトリック軍として参加。従軍中に「霊感に満たされて驚くべき学問の基礎を発見」し学問体系の再構築を決意、自然学に関する論文の序文として『方法序説』を出版した。近代的自我を発見したデカルトは近代哲学の確立に大きく貢献した。

デカルトが求めたのは、確信をもって生きるために真を偽から分けることであり、その基準となるものが「明晰判明」であった。この明晰判明な真理に到達するために用いた方法が「方法的懐疑」であり、その結果、「我思う、故に我あり」という疑い得ない確実な知識に到達した。デカルトはこれを哲学の第一原理とし、演繹法を用いて神の存在証明を経て物心二元論に至った。そのうち精神は近代的自我を、物体は機械論的自然観の基礎となった。

  • 理性の普遍性(良識 ポン-サンス)

良識とは「理性」あるいは「真偽の判断力」を意味する。人は良識をよりよく使うことで知恵に達することができ、良識はすべての人間に生まれながらにして平等に備わっているものである。それゆえに、デカルトは理性を正しく使うことを重要視し、自己に備わる良識を十分活用することで、最大の幸福を得ることができると説いた。

  • 「我思う、故に我あり」

あらゆるものが疑わしく、すべてが虚偽であると考えられるとしても、このように疑い、このように考える私が存在することは疑いえない。これこそデカルトが方法的懐疑の末に到達した哲学の第一原理である。
この「私」という存在についても、身体としてお私は疑わしく、心・精神・意識としての私、すなわち「自我」こそが真なる「私」と言える。「考える精神」にたいして「延長を本質とする物体」を区別する物心二元論が生じ、自然を因果関係によって捉える機械論的自然観へつながる。