てちゅがく

「唯心論と唯物論」講読14

◆十二 デカルトおよびライプニッツの心理学と神学との統一 デカルトの思想 「我思う、故に我あり」=「我は肉体なき我を思う、故に我は肉体なくして存在する」 物質すなわち肉体的実体とほとんど結合しない神において成り立つ 精神が人間の身体と結合されて…

「唯心論と唯物論」講読13

◆十一 心理学と神学との統一 心と神 唯心論における心から導出されるもの:死後の生活であって生前の生活、すなわち思惟および感覚ではない 人々は唯心論の心から神学へ推論することはできても、人間学へ推論することはできない 心理学は経験的神学の何物で…

「唯心論と唯物論」講読12

◆十 唯心論の本質 唯物論と対立する唯心論 唯心論=身体から本質的に区別されかつ独立な存在者である精神ないしは心に自分の根拠を見出す 身体は可視的な感性的で物質的であるのに対し、精神は非感性的で非物質的 心の非肉体性および非物質性 精神・心=動物…

「唯心論と唯物論」講読11

◆九 医学科と哲学科の争い 唯心論と唯物論の争い 人類の諸苦悩を眼で見、心で思うものは必然的に唯物論者になる 諸苦悩と諸重荷との唯物論が廃棄されるのは宗教における天国においてである 或る器官が健全でその働きが無意識的に行われているような状態を自…

「唯心論と唯物論」講読10

◆八 ドイツ唯物論の宗教的根源 ドイツ唯物論と宗教改革 ドイツ唯物論は人間に対する神の愛の結実である 宗教改革者たちは人間に対する神の愛の結実の形像または本質を人間の最も熾烈な愛−自分たちの子供に対する両親の愛−のなかに見出した キリスト教におけ…

「唯心論と唯物論」講読9

◆七 個体主義または有機体(後半) 人間における功績と非難 人間は他の人々が自分に対して下す非難に充ちた判断を良心に感ずるときに自分自身を非難する 人間は活動や勤勉、精励を自分の功績に算え、他の人々がこれらの諸特性を書いていることを意志の欠陥と…

「唯心論と唯物論」講読8

◆七 個体主義または有機体(前半) 現存在を与える唯物論 感覚論と個体主義は同一である 私が他の諸存在者から区別されている個体的存在者であることを知るのは諸感官による 個体性は私を他の人々から区別する諸標徴および諸特性のみならず、人間の一般的概…

「唯心論と唯物論」講読7

◆六 必然性と責任(後半) 規定する根拠とその帰結 規定された存在者・個体である私がその中間に位置しており、根拠と帰結を結びつけている 私を或る行為へと動かす充足理由は他の人にも同じく作用するとは限らない 私自身に対する関係に充足理由を与えてい…

「唯心論と唯物論」講読6

◆六 必然性と責任(前半) 「私は欲する」という命題 自我と同様に意志は何者からも規定されないものである 現実的な意志は単に或る規定された存在者の意志に過ぎない ex)書店において各人の好みに応じて1冊本を選ばせる例え ある者は小説を、またある者は…

「唯心論と唯物論」講読5

◆五 必然性の区別 意志と必然性 意志は年齢と性にしたがって相違するように、国民性にしたがってもまた相違する ex)焼けるような喉の渇きと毒の含まれた水 水に毒が含まれているという事実を知らなければ水を飲み、知っていれば水を飲むことはないだろう 死…

「唯心論と唯物論」講読4

◆四 道徳論の展開 「利己的」な幸福欲と「非利己性」を要求する道徳はどうして一致するのか 法:外面的で苦痛が伴う、強制的な諸制限の内部において自らの幸福欲を他人の幸福欲と一致させる 道徳:内面的で心からの、自発的な諸制限の内部において自らの幸福…

「唯心論と唯物論」講読2

◆二 時間の内部における意志 意志は時間と空間に緊縛されている 「今欲している私が、数年前に欲していた私と同一人であるということを、反駁されることができないこととして知っている」 かつての意志と今の意志との間には、過去の実存と現在の実存と同様に…

「唯心論と唯物論」講読1

秋学期に履修した哲学の授業(×2つ)は期末に提出するレポートで評価だったので、主に近代哲学に対する批判として生み出された実存主義をテーマに選んだ。1通は実存主義の総論的な内容、もう1通は現象学の影響を受けながら独自の思想を展開していったハイデ…

「自由からの逃走」講読11

◆第七章 自由とデモクラシー 2 自由と自発性 第一次的絆からの解放 生活に意味と安定とを与えた第一次的な絆からの解放 これにより近代人は孤独となり、無力と不安に苛まれることとなった 孤独に基づく外界への恐怖 世界の統一性の崩壊 自己存在や人生の意味…

「自由からの逃走」講読10

◆第七章 自由とデモクラシー 1 個性の幻影 近代デモクラシーの本質 あらゆる外的な束縛からの解放による真の個人主義の完成 外的権威に従属せず、思想や感情を自由に表現できる しかし、思想を表現する権利は、私たちが自らの思想を持つことが出来る場合にの…

「自由からの逃走」講読9

◆第六章 ナチズムの心理 ナチズムに対する2つの異なる見解 経済的な社会運動ないし政治的な現象 恐ろしく強い自尊心、残虐の喜び、神経症的な分裂といった心理的要因 単一的な要因ではなく、両者が複雑に入り組んでナチズムが形成された ナチズムを受け入れ…

「自由からの逃走」講読8

◆第五章 逃避のメカニズム 3 機械的画一性 機械的同一性 現代社会において、大部分の正常な人々が採っている解決方法 個人が自分自身であることを辞める 文化的鋳型に基づいて与えられる自己のパーソナリティ 一般的な人間観 個人=自分の思うままに自由に考…

「自由からの逃走」講読7

◆第五章 逃避のメカニズム 2 破壊性 破壊性 サド・マゾヒズム的追求と破壊性は密接に関わっているが、区別しなければならない 破壊性は積極的ないし消極的に対象との共棲を目指さず、排除しようとする 破壊性もまた耐え難い無力感や孤独感に基づいている そ…

「自由からの逃走」講読6

◆第五章 逃避のメカニズム 1 権威主義 マゾヒズムとサディズム 個人的自我の独立を捨て、自己と外部を融合させることでその個人に欠落しているような力を獲得しようとすることで逃避を図る 服従と支配への努力 マゾヒズム的ないしはサディズム的な傾向 マゾ…

「自由からの逃走」講読5

◆第四章 近代人における自由の二面性 プロテスタンティズムの教義とその精神 中世的社会組織の崩壊と資本主義の発生→心理的欲求に基づく新たな教義 中世社会の伝統的な絆からの自由=個人が有する孤独と孤立の感情 新しい服従と強制的かつ非合理的な活動へ人…

「自由からの逃走」講読4

だいぶ間が空いてしまったけど……◆第三章 宗教改革時代の自由 2 宗教改革の時代 ルター主義とカルヴィニズム 従来の富裕な上流階級ではなく、都市の中産階級や貧困階級、農民の宗教として根付く これらの人々は無力と不安に支配され、自由と独立を欲していた …

「倫理資料集 ソフィエ」まとめ5(ドイツ観念論2 フィヒテ/シェリング)

○フィヒテ(1762-1814) ドイツ観念論の哲学者で主観的観念論と呼ばれる哲学を展開した。フィヒテはカントが認識論と倫理学、つまり理論理性お実践理性のつながりについて十分に説明していない点を絶対的自我の働きによって克服し、カントの哲学を発展させよ…

「自由からの逃走」講読3

◆第三章 宗教改革時代の自由 1 中世的背景とルネッサンス 中世社会を特徴づけるもの 個人的自由の欠如 個人生活・経済生活・社会生活のすべてが規則と義務に縛られる 近代的な自由はなかったが、孤立はしていなかった 生まれながらにして社会的役割を与えら…

「自由からの逃走」講読2

◆第二章 個人の自由の解放と自由の多義性 個人の生涯と個別化 母親の体から離れた一個の生物学的存在としての子供は完全に解放されてはいない 第一次的絆:個別化(=成長)の過程における安定感や帰属感 個別化が完全な段階に達し、第一次的絆からの解放さ…

「自由からの逃走」講読1

twitterの戯言アカウントをブログと連動させているので、自動的に作成される毎日の戯言と重複する部分がある毎日の動静をわざわざブログに記録するのも面倒に感じ、ここ2ヶ月は縮小営業。ただ、戯言アカウントの退行化が酷くて事あるごとにクマクマ言ってい…

「倫理資料集 ソフィエ」まとめ4(ドイツ観念論1 カント)

○カント カントは東プロイセンの港町ケーニヒスベルグ(現在のロシア・カリーニングラード)に生まれた。16歳から22歳まで苦学してケーニヒスベルグ大学を卒業し、約8年地方で家庭教師をした。31歳の頃、ケーニヒスベルグに戻り修士号を取得し、母校の私講師…

「倫理資料集 ソフィエ」まとめ3(合理論1 デカルト)

○デカルト 中世スコラ的な学問に失望し、「世間という大きな書物のうちに見いだされ得る学問」を求めて、旅行や軍隊生活で過ごす。22歳で30年戦争にカトリック軍として参加。従軍中に「霊感に満たされて驚くべき学問の基礎を発見」し学問体系の再構築を決意…

「倫理資料集 ソフィエ」まとめ2(現象学1 フッサール)

本来なら、近代哲学の祖であるデカルトから大陸合理論と英国経験論の分離・統合を経てカントからヘーゲルに至るまでのドイツ観念論が来てからの実存主義なのだけど、取り急ぎ、今回から大学の講義で取り扱われるフッサールだけ簡単に予習。○フッサール ウィ…

「倫理資料集 ソフィエ」まとめ1(源流思想1 ソクラテス/プラトン/アリストテレス)

清水書院から出ている「倫理資料集 ソフィエ〜智を学び夢を育む〜」をテキストに、必要に応じて必要な個所をまとめて知識の整理をしようという試み。現代思想の授業でアリストテレスの「形而上学」を取り扱っているので、今回は古代ギリシア哲学の概観をざっ…

「本当にわかる哲学」講読7(終)

◆第6章 社会とはなにか? ○社会はみんなの約束で作られた? 近代社会というシステム 民主主義と資本主義による社会の変革によって近代社会は産み出された マルクス:資本主義の矛盾を指摘し革命の必要を訴える 市民革命と共産主義革命の共通点:「社会のルー…