「唯心論と唯物論」講読8

◆七 個体主義または有機体(前半)

  • 現存在を与える唯物論
    • 感覚論と個体主義は同一である
      • 私が他の諸存在者から区別されている個体的存在者であることを知るのは諸感官による
    • 個体性は私を他の人々から区別する諸標徴および諸特性のみならず、人間の一般的概念のなかへ包括する諸特性を併せ持つ
    • 私という存在はここまでが個体であり、それ以上は個体ではないというようなものではない
      • この場合、私の個体的諸特徴は共通な諸特性において自分たちの限界を有していることになる
    • 個体性は不可分性であり、統一性であり、全体性であり、無限性である
      • 私はもっぱら絶対的に規定された人間としての人間なのである
      • 人間であることと個体であることは不可分である
    • 私が感覚し意欲し思惟することと、他者が感覚し意欲し思惟することは共通の知性に基づくものではなく、それぞれの頭脳の中に存在している理性によって与えられる
  • 存在の本質性
    • 私の本質が私の意志の帰結なのではなくて、私の意志が私の本質の帰結なのである
      • 私は私が意欲する以前に存在している
      • 意志を持たない存在は存在するが、存在をもたない意欲は存在しえない
    • 意志は人間の本質が外部に向かって活動するものであるが、人間は自分の意識の背後の本質については何も知らない
      • このため人間は意志そのものを自分の本質の前に措定し、意志を自分の本質のアプリオリなものとして捉え、自分の個体的本質を他の人々に対する法則とし、自分の存在を他の人々に対する当為とする