「唯心論と唯物論」講読9

◆七 個体主義または有機体(後半)

  • 人間における功績と非難
    • 人間は他の人々が自分に対して下す非難に充ちた判断を良心に感ずるときに自分自身を非難する
    • 人間は活動や勤勉、精励を自分の功績に算え、他の人々がこれらの諸特性を書いていることを意志の欠陥とみいなして彼らの責任に算える
      • 精励、勤勉、活動は(優れている)人間にとっては自然必然性であるが、同時に勤勉に対立する諸傾向性および諸衝動をも内包している
    • 他人の諸成果を享受し称賛と感謝をもって報う一方で、自身が役立たずであることを自分の組織のせいにする怠け者は軽蔑によって罰せられる
      • 組織の維持には個人の活動・緊張した精励・不断の訓練を必要とするように、組織の欠点も人間の活動によって除去あるいは緩和される
    • 絶望的な心情状態を解放するためには、身体運動を必要とする
      • 「精神は身体的諸器官の性状に依存することがたいへん多い」(デカルト
      • 害悪からの自由は、自然的な物質的または感性的治療諸手段を認識しかつ使用することによって制約され媒介されている
  • 感性の功罪
    • 感性は「邪悪の源泉・罪の源泉・諸犯罪の源泉」である
      • しかし、感性はわれわれにただ犯罪を犯すための諸器官を与えるだけでなく、罪に対する治療諸手段をも与える
    • 「自然は服従によって支配される」
      • 完成はただ感性的諸手段によってのみ支配され、身体はただ身体的諸手段によってのみ支配される
    • 「われわれが身体を用いて行うあらゆる諸作業のばあいに、身体が最良の状態にあるということは最も重要な意味をもっていることである。(中略)身体の状態が悪いために精神をおそうからである」(ソクラテス
      • 唯物論は道徳の唯一の堅固な基礎である