「倫理資料集 ソフィエ」まとめ5(ドイツ観念論2 フィヒテ/シェリング)

フィヒテ(1762-1814)
ドイツ観念論の哲学者で主観的観念論と呼ばれる哲学を展開した。フィヒテはカントが認識論と倫理学、つまり理論理性お実践理性のつながりについて十分に説明していない点を絶対的自我の働きによって克服し、カントの哲学を発展させようとした。

  • 絶対的自我

「対象」とは自我の働きに対し逆らい、またはそれに対して立っているものという意味である。我々の自我はあくまでもこの対象を超えて自己自身を定立しようとする無限の働きであり、この自我を絶対的自我と呼んだ。フィヒテは人間の主観性を強調し、自我と非我(対象)との関係の中で、絶対的自我を実現しようとする意志的な努力こそカントの理論理性と実践理性をつなぐものであり、道徳の根本原理となると考えた。

シェリング(1775-1854)
啓蒙思想の合理主義に反対して美的感情を重視するロマン主義の芸術家と親交をもち、これが思想に影響を与えた。精神と自然、あるいは主観と客観の対立を統一し、すべての根底に絶対者を求める客観的観念論を構築した。

  • 絶対者

シェリングは自然と精神を統一するために全てのものの根底に存在し、ここの者においては全てのものが無差別かつ同一である絶対者を求めた。このことから彼の哲学は同一哲学とも呼ばれる。
精神において実在するものは「自我」と「非我」であり、この2つのものの根底にあって、この2つのものを生じさせるものこそがシェリングの考える絶対者である。そして、この絶対者を知的直観により直接に把握するものが人間精神とした。後のヘーゲルシェリング弁証法がかけている点を批判した。