「自由からの逃走」講読7

◆第五章 逃避のメカニズム
 2 破壊性

  • 破壊性
    • サド・マゾヒズム的追求と破壊性は密接に関わっているが、区別しなければならない
      • 破壊性は積極的ないし消極的に対象との共棲を目指さず、排除しようとする
    • 破壊性もまた耐え難い無力感や孤独感に基づいている
      • それらが起因する外界を破壊することで、外界の圧迫から自己を救う最終的な手段
  • 破壊性の2つの傾向
    • 自身あるいは他人の生命や完全性、一体となっている思想に対する攻撃への反作用
      • 合理的な敵意
      • 物質的あるいは感情的な重大な関心に対する脅威をもたらす特定の人々に対して向けられた破壊性
    • 内的な安定性と自発性の欠如に起因する生命の障害
      • フロイトによる生命の障害と破壊性の関連性
  • フロイトの理論
    • 人間行為の2つの基本的な動機(初期の主張):性的衝動と自己保存の追求
      • 後に破壊的衝動の比重と重要さの軽視に気付き、新たな仮説を提唱
    • 人間の2つの基本的傾向:生のリビドーと一致する衝動と生命の破壊そのものを目指す破壊本能
      • エロスとタナトス
      • 破壊本能はすべての生物体に内在的な生物学的性質に基づき、生命の必然的な不覚的部分である
    • フロイトの仮説が正しければ、破壊性の程度は自己に対しても他者に対しても一定でなければならない
      • 破壊性の比重は同一文化下の諸個人の間でも、異なった社会集団の間でも等しくはない
  • フロムによる考察
    • 個人にみられる破壊性の程度は、生命の伸長が抑え付けられる程度に比例するのではないか
      • 人間の感覚的、感情的、知的な諸能力の自発的な成長と表現の妨害
    • 生命は成長と表現と生存を求める内的な力学が作用している
      • 生命を求めるエネルギーが妨害され、分解される過程で破壊を求めるエネルギーへと変化する
    • 破壊性は生きられない生命の爆発である
    • 社会過程における破壊性
    • 個人の孤独と成長の抑圧は上流階級や下層階級よりも下層中産階級にとって切実なものであった

◇高坂あかなのまとめ
フロイトにはまだ手を付けていないのであまり適当なことが言えないのだが……
人間は生の本能と死の本能の両方が備わっており、これらの力学的関係によって内的なエネルギーが成長と破壊に分配されるという理論は分りやすい。宗教改革→資本主義といった大きな社会変動についていけなかった下層中産階級においては不満や葛藤、敵意、憎悪といった諸々の負のエネルギーが破壊性となり、革命の原動力となったと合理的に理解することができるのではないか。