「唯心論と唯物論」講読5
◆五 必然性の区別
- 意志と必然性
- 意志は年齢と性にしたがって相違するように、国民性にしたがってもまた相違する
- ex)焼けるような喉の渇きと毒の含まれた水
- 水に毒が含まれているという事実を知らなければ水を飲み、知っていれば水を飲むことはないだろう
- 死に対する恐怖は渇きによる苦痛より優越である
- 生命に敵対的なものを恐怖し、嫌悪し、憎悪する『自然の体系』は正しい
- この必然性は私の自我と同一かつ自由な必然性である
- 他方、制御され難い欲望の必然性は憎まれる必然性である
- 人間は時として自分自身を愛し、生きることを欲する<自分の本質>に反する行為をとることがある
- ex)自身を毒することを欲するのではなく、単に喉の渇きを鎮めることを欲するために毒入りの水を飲む場合
- 動機と必然性
- 諸動機はそれら自身において等しい価値・重要性、すなわち強制力を持っているのではない
- 第一級の動機:根源的な動機
- 第二級の動機:派生的な動機、すなわちそれ自身が再び或る動機に依存する動機
- 水を飲むという行為=生きようとする第一級の動機に基づく、喉の渇きを解消せんとする第二級の動機による
- 感官や悟性は必然的に意志に属する
- 私が何を欲し、何をすべきかを知るのはこれらの働きによるため
- 私が欲するということは、私が自由かつ幸福であるということ以外の何物をも意味しない
- 幸福に対する衝動は<人間の自然(本性)>以外の何物でもない
- 諸動機はそれら自身において等しい価値・重要性、すなわち強制力を持っているのではない