「マンデラ 自由への長い道」(2013米)

人種隔離政策アパルトヘイトによって、白人たちが優位に立ち、黒人たちが迫害されていた、南アフリカ共和国。弁護士として働いていたネルソン・マンデラは、そんな差別や偏見が当然のように存在している状況に疑問と怒りを感じられずにはいられなかった。その思いを強くするあまり、彼は反アパルトヘイトを訴えた政治活動に身を投じていくが、それと同時に当局から目を付けられるように。活動は熱を帯び、ついには国家反逆罪で逮捕され、終身刑という重い判決を下されてしまう。

ネルソン・マンデラを旧態依然の間違った体制を鮮やかに刷新する聖人でなく、一人の人間として「正しさ」とは何かということに苦悩し、未来を模索していく一人の人間として描かれているのは好印象。自分や家庭よりも民衆を優先し、あれほどまでに屈辱的な仕打ちを受けながらも彼らを「赦す」ことのできる強さ。ネルソン・マンデラという人物の素晴らしさを示すエピソードは散りばめられていたものの、それに比べ業績の偉大さがやや淡泊だったのが残念。欲を言えば、それなりの尺なのでもっと掘り下げても良かったのではないだろうか? 率直に言えば、素材は良いもののドキュメンタリーとしてはいささかの物足りなさを感じてしまったのは事実。

独断と偏見に基づく私的評価【★★☆☆:良】