#16

■「幸福論」講読(1)
寺山修二の「自殺学入門」、ショーペンハウアーの「人生について-幸福論-」はいずれも11回目で頓挫しているが、おいおい気が向いたときにでも。あまり時間を要さず、毎日続けるのが第一だと思い、元々は新聞に連載されたいたちょっとした人生訓をまとめたアランの「幸福論」を題材に、それを自分なりの理解で1〜2行に要約しようという試み。さて、何日続けられるか。

1.名馬ブケファルス
上手くいかない人間に対して心理や性質といった方面からのアプローチには何の意味もなく、上手くいかない原因であるところの‘ピン’を探すのが手っ取り早い解決策である。
2.いらだち
身体と精神は密接に関わり合っているがゆえに片方のみを重視するということは、人間のあらゆる反応における理解への妨げとなる。
3.悲しいマリー
心身ともに多大な影響を及ぼす思い込みに基づく感情は破滅の第一歩である。
4.神経衰弱
人間は幸福や不幸の原因というものを説明しようとして、自ら作り出しているに過ぎない。身体の精神の作用によって認識される世界は、気分に基づき絶えずその姿を変えているだけである。
5.ふさぎの虫
不幸が人々を苦しめる原因は、その人があらゆる事柄に不幸の理由を目ざとく探し出そうとするその態度である。まずは不幸を数えるその癖を取り除くことが、快方への第一歩である。
6.情念
性格や思想に起因する情念は自分自身を敵とみなすため、継続的に激しい苦痛に襲われる。しかしながら、精神は身体の一部であることを自覚すれば、情念の自責は理性的なものではなく本能的なものとして割り切ることができる。