#17

■「幸福論」講読(2)
7.神託の終滅
健康の‘まね’を通じて、不安と恐怖を取り去ることが一番の健康である。
8.想像力について
想像力が思想に勝るため、人は他人の不幸に十分耐えうる力を持っていない。しかし、思想を内包する肉体が苦しめられ、癒されることを通じて思想はより美しくなる。
9.精神の病気
本物の不幸とはそれを認識することすら不可能な瞬間的なものであり、人が考えうる不幸とは偽りに過ぎない。
10.気で病む男
想像力はその思い込みによって人を苦しめる病をもたらすが、同時に苦痛から救い出す作用も有している。
11.医薬
想像力に基づく虚偽の観念は、時として自らの意志を以てしても不可能な身体の変化を引き起こす。ゆえに、私という‘機械’における不具合には医薬よりも正しい認識こそ最適な処置法である。
12.微笑
感情や気分が思わしくない場合には、認識や判断といった精神の働きではなく、微笑やあくびといった身体の運動を通じて調整を行うのが効果的である。