パンドラの箱とは一体何なのか?

 パンドラは好奇心のあまり、「開けてはならぬ」と言われた箱を開けてしまい、災いが溢れだし世界は不幸に染まってしまった。パンドラは慌ててふたを閉めたものの、皮肉にも箱の中には希望だけが残った。よく知られた「パンドラの箱」の逸話である。「開けるべからず」と言われたものの、つい開けてしまいたくなるようなパンドラの箱とはどんな箱だろうか。

 こっそりと開けて後で戻すのだから、ラッピングはされていないはずだ。また、「開けた時に何か起こるのでは?」と思わせるような怪しさは極力排除はずである。あと、やたらに大きい箱でもなさそうだ。かえってほどほどの大きさの方が逆に気にはならないだろうか? それに、ある程度中身に何が入っているか検討がつくような外観のほうが開けやすい。例えば、無地の箱と「有田みかん」と書かれた箱(中身は両方ともみかん)があったとき、前者は得体の知れない不気味さがあるだろう。一方、後者はみかんが入っていると思われることから前者に比べて大分開けるのにも抵抗が無いはずだ。

 以上の推察からパンドラの箱は「おばあちゃんのおせんべ箱」であったと思われる。よりどりみどりのおせんべいが入った「パンドラの箱」。気になって開けたくならないであろうか? 食卓にぽつんと置かれていたら、間違いなく開けてしまう自信はある。こっそりと箱を開けているのを見られ、口論になる。騒ぎを聞きつけた周囲の人間も集まり、1箱に2枚しかない「おばあちゃんおせんべ」の取り合いが起こる。粉々になる「おばあちゃんおせんべ」。これがパンドラの箱に詰められた災い。そして、パンドラの箱に残された希望とは、和やかな雰囲気の中で各々が食べたいおせんべを選べる自由なのである。