気まぐれすーさいど1

 「春のすーさいど☆ふぇあ」、開催。連休の間、ある共通のテーマが取り上げられた本を1日1冊ずつ。

 1冊目はこちら。

 シゴフミ〜Stories of Last Letter〜/雨宮 諒(電撃文庫

 その少女が身につけているのは、不思議な杖と鍔付き帽子に、レトロな郵便配達夫を思わせるがま口の鞄。その鞄の中に入っているのは、ただの手紙なんかじゃない。黒い切手が貼られたその手紙は、想いを残して逝ったひとが大切なひとへ宛てて書いた手紙…死後文。今日も少女―文伽は相棒である杖のマヤマとともに死後文を、ひどく優しい奇跡を運ぶ。―亡き家族へ、友人へ、恋人へ。想いを乗せた最後の手紙を。雨宮諒が贈る、切なくて優しい物語。

 この本が出たのは6年前ですか、あの頃は本当に良かった。今も相変わらずラノベは読むけど、すっかり電撃文庫はご無沙汰だったので、久しぶりに読んだ。何というか、文字の小ささに驚いた。こんな小さかったっけ? まぁ、いいや。

左が「シゴフミ」、右が比較用(ちなみに後日取り上げる本)

 電撃文庫の中でも特に好きな小説の1つ。とか言いつつ、全4巻なんだけど4巻に至ってはシュリンクが掛けられたままだったり。1つの巻にいくつかの短編が収められているというスタイル。『飛べない蝶』という短編は、あるテーマが描かれた作品として真っ先に思い浮かぶくらい、印象に残っている。
何度も読み返しているので、話のあらすじも結末も知っているのにも関わらず、読むたびに涙腺が緩む。

 以前、この本を読んでいた頃には皆無だった「死への執着」を持って読み返してみると、ほんの些細な描写、具体的にはお葬式の場面なんだけど、昔は気に留めることもなかったその場面が妙に気に留まった。ぼんやりと聞いていた大学の授業で「答えが不変である数学とは違って、文学は求められる答えは常に変化する。同じ作品を読み返した場合でも時代・社会・環境が異なれば読み方も異なり、読むことによって得られる答えは異なる」といった話を思い出すと共に、改めて読書の魅力を実感した。

 ネタバレにならない程度にあらすじ。「二人ともが死ぬのに最適な16歳でいられるその日に屋上から一緒に飛ぼう」と決めた前日に、一人が不慮の事故で死んでしまう。シゴフミ配達人の文伽は死んだ彼女の元を訪れ、彼女は残されたもう一人へのシゴフミを文伽に託す……「二人で死ぬ」という約束の裏に隠された本当の願いとは。


 amazonだと『飛べない蝶』の評判はあまりよろしくないけど、個人的には断トツで好き。しかし、本の感想を真面目に書くのって恥ずかしい。あと3回もやると思うとげんなりするが、仕方ない。適当に読み流す事を推奨。それにしても、表紙の太ももの艶めかしいことと言ったら……