扉の向こうの少女

 その扉を閉められず、もう1年は経つ。

 幸せを掴むために数多の扉を探し、開けてきた。けれども、1つとしてその先に幸せなんか無かった。ボクはいつまでこの作業を繰り返せば良いのだろうか?

 扉の向こうには息を飲むような可憐な少女。不釣合いな鎌を携えて。ボクは彼女が何者か知っている。そして、ボクがその扉を自ら潜り抜けない限り、彼女が鎌を振りかざさないことも。

 彼女の待つその扉にいつでも飛び込めるよう、扉を開け放したまま他の扉に手を掛ける。やはり、そこには無い。憐みとも優しさとも受け取れる彼女の視線にこれ以上扉を開くことも、彼女のもとに行くことも出来ず、ボクはその場に立ち尽くすしかないのだ。