#2
■「自殺について」講読(1)
今回からショーペンハウエルの「自殺について」を題材として、講読を行っていく。
◆死によってわたしたちの真の存在は滅ぼされるものではないという説
わたしたちが死に対して懐く二つの考え(p7~)
- 極めて恐ろしく厭うべきもの…時間的意識に帰属
- 「わたし」という存在は時間のなかの現象に過ぎず、死はその滅亡である
- 安らかな喜びや情景を抱くもの…優れた超絶的意識の作用
- 超絶的意識と経験的意識が「わたし」という同一性の中で融合している
死というものは厳然たる事実であり、すべての実体に訪れる(p14~)
ひとりの人間が死ぬたびごとに、その人間が頭脳の中に有しているひとつの世界が滅んでゆく(p18~)
- 世界とは表象(=主観的な観念)である
利己心はその持主の身柄が滅びるのと一緒に絶滅するがゆえに、その持主は死を恐れる(p18~)
- 死は利己心に対する戒めである
すべての悪心は生きようとする意志が激動することに起因する(p19)
- 死に抱く印象は悪い心と善い心を持つ度合いに準じて人それぞれ異なるものである
すべての物質にも、また、すべての精神にも(意志と表象のごとく)二つの面がある(p20~)
- 「わたし」という存在を時間的存在者とすれば一時的な存在となり、内的世界の絶対的存在者とすれば永続的な存在となる
いかなる場合にも、また、いかなる人に対しても、よく納得されるような慰めの言葉としては、「死は、生と同様に、極めて自然的なことです。それどころか、わたしたちは、それからさき、もっともっと遠くまで、見透かしてみたいものですね」といったら、よろしかろう(p22)