気まぐれすーさいど7

 今日もやるよ、「春のすーさいど☆ふぇあ」。7日目の今日はこちら。


 「肖像画」/ゴーゴリ岩波文庫*「狂人日記」に収録)

 ある日、チャルトコーフという売れない若い絵描きはとある肖像画に出会う。肖像画には痩せこけた老人が描かれていたが、その異様なまでに恐ろしい目つきをしていた。絵描きは肖像画を思いがけず手に入れることになるのだが、それはいわくつきの品だった……

 「ソクラテスの弁明」、「西洋哲学史*1、「方法序説」、「若きウェルテルの悩み」。手持ちの岩波文庫の本だけど、ボクの中ですっかり「岩波文庫=読みづらい」*2というイメージ*3が定着していた。これもその類なんだろうなと、半ばあきらめながら読んでみると、すんなりと読めて分かりやすい! 翻訳ものは実際に手に取って比べてから買うことにしよう。

 「すーさいど☆ふぇあ」をやるにあたって、「小説 自殺」で検索して出てきたページを参考にしていて、この「肖像画」もそれで知ったんだけど、読み終えてまず思ったのは「主人公、自殺しないじゃん! ちょい役の登場人物は自殺していたけど」ということ。 件のページをよく読んでみたら、「主人公が自殺する、または殺される小説を教えてください」とのことで、完全に見落としてた。もっとも、「肖像画」の主人公は自殺でも他殺でもないけど。*4

 いつぞやに話した大学の授業で、ゴーゴリの「外套」が取り上げられていた。このゴーゴリという作家は怪談めいた話が上手いな、と思う。といっても、この2作しか読んだことは無いが。さて、「肖像画」の第一部は「肖像画を手に入れた絵描きは、地位や名声、そしてお金を手に入れることと引き換えに、大切なものを失ってしまった」という話。そして、第二部でその肖像画のいわくが語られる。個人的には謎めいた結末が好き。

 テーマから若干離れた作品ではあったけど、純粋に楽しめた。収録されている他の2編*5も時間を見つけて読んでみたい。

*1:この2冊は哲学概論の教科書だったけど、「西洋哲学史」に至ってはほとんど使わなかった

*2:訳が古臭くてどうも……

*3:「若きウェルテルの悩み」以外は途中で読み投げて、「ソクラテスの弁明」は光文社のやつを改めて買った

*4:でも、死を迎えることに違いはないが

*5:特に「狂人日記」は面白いらしい